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グラントリノ

 
グラン・トリノ [DVD]

俺は迷っていた、人生の締めくくり方を。
少年は知らなかった、人生の始め方を。


朝鮮戦争の従軍経験を持つ元自動車工ウォルト・コワルスキーは、妻に先立たれ、愛車“グラン・トリノ”や愛犬と孤独に暮らすだけの日々を送っていた。そんな彼の隣家にモン族の少年タオの一家が越してくる。ある事件をきっかけにして心を通わせ始めたウォルトとタオだったが、タオを仲間に引き入れようとする不良グループが2人の関係を脅かし始め……。


「いい映画を観に行こう」
と、旦那に連れていかれたのが、この作品。

名優であり、名監督でもあるクリント・イーストウッドが俳優最後の舞台として選んだ作品。

映画の冒頭から、イーストウッド演じるウォルトの人柄と彼を取り巻く関係が把握出来るのは流石。
頑固な爺さんと世間を繋ぐパイプになっていた妻が亡くなったときから、彼の孤独は始まり、そして、新しい人と人との繋がりの始めとなっていった。

映画が始まってからの、モン族との交流には多少の違和感を感じてしまう。
――しかし、それがタオやスーと言葉を交わしていくうちに少しずつ心の垣根が取り払われていく。

これは、ウォルトの心の変化を同じように観客が体験出来るように計算ずくで演出されたものではないかと思ってしまうほどだ。

近所の奥さんがスーパーで買い込んだ品物を舗道に撒き散らしてしまったときも、道路の反対側でベンチに座って「やれやれ」顔でビール片手に見ていたウォルト。

アメリカ人の若者たちは、おばさんが転がった果物を拾う様を笑って通り過ぎるだけ。
その後に通りかかったタオが舗道に散らばった荷物を拾い始めるのを見て、ウォルトは少し驚いたようにも困ったようにも見える顔をする。

ウォルトは気づいたのだろう。
種族によって、人を分け隔てるものではないのだと。

タオやスーを通じて、人々と触れ合っていくウォルト。
各所に微笑ましい場面をまじえながらも、悲しい結末へと物語は進行していく。


武力や暴力に対して、人はどう対抗していけばいいのか。
武力に武力で抵抗しては、何も生まれるものはない。――戦争を体験してきたウォルトにはそれが痛いほどにわかっていたのだろう。

そして、自分が守りたいと思った若者に「未来」を贈るためにウォルトがとった行動。
それは、余りにも悲しく、限りないほどにやさしく気高いものだった。

銃弾を浴び、地面に倒れたウォルトのその姿は、十字架に磔にあったキリストの姿を彷彿とさせる。


オーダーメイドのスーツが、自分の葬儀用に作られたものだとわかり、そこでまた涙がボロボロでした。


エンドロールではタオがGFを助手席に乗せ、眩しい陽の光の下の海岸沿いをグラントリノで走っていく。

人は人として何を残していけるのか……。
明るい未来の中、すでに自分はそこにはいなくても、残された人の中に確かに存在し続ける……。

そんな生き方をしたいと考えさせられる映画でした。



お勧め度
★★★★★

COMMENT : 2
TrackBack : 1
CATEGORY : DRAMAな映画 | THEME : ★おすすめ映画★ | GENRE : 映画 |

COMMENT

はじめまして~
イーストウッド監督の映画は、
どれも救いがない…とも違うか…
犠牲を伴う救い…かな?
うなだれてしまうか 天を見上げてしまうような救い…
彼がそういう映画を撮り続ける背景に興味があるな~

毎週 映画館に足を運んでます。
よかったら遊びに来てね~
2009/09/12(土) 22:15:06 | URL | AISYA #-[編集]
いらっしゃいませ~
AISYAさん、はじめまして♪

ミスティック・リバーやミリオンダラー・ベイビーと、やるせなさMAXなラストでしたからね~。

でも、このグラン・トリノは悲しい結末ではあったけど、未来への希望が見えてましたよね。

イーストウッドが役者として最後の作品がグラン・トリノだとしたら、彼は後に続く人たちにうまいバトンタッチをしたんじゃないかとも思えるんです。

監督としてのこれからの作品に注目ですね♪

しかし、毎週映画館とはうらやましすぎます~(笑)
2009/09/13(日) 02:35:24 | URL | 和久井 #-[編集]

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